公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団
The Dia Foundation for Research on Ageing Societies.
高齢者の住環境に関する研究

RESEARCH

高齢者の住環境アクセシビリティ評価指標
の開発と実証研究

「住環境アクセシビリティ」とは、「住まいにおいて、個人が目的の所に行ったり、物を使うことを住環境が促進/阻害する程度」と定義されます。
「バリアフリー」ほどの認知度がないこの言葉ですが、生活上の危険を回避するだけでなく、高齢者の持つ能力を最大限に生かして住み続けるには、アクセシビリティの確保が重要です。しかし、日本では、高齢者の住環境アクセシビリティを評価するための指標が整備されていません。
本研究では、スウェーデンで開発された住環境アクセシビリティ評価指標を翻訳し、日本の高齢者の住宅を評価するのに活用することを目指しています。本研究は、ルンド大学CASE(Centre for Ageing and Supportive Environments)の研究者との国際共同研究として2017年より実施しています。

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住環境アクセシビリティ指標の実施可能性の検証

スウェーデンで開発された住環境アクセシビリティ評価指標(Housing Enabler ハウジング・イネーブラー)は、住環境要因と個人の特性との組み合わせにより、住環境アクセシビリティの問題は生じるという概念モデルをベースに開発された指標です。この指標を翻訳、日本の住宅基準に適応させた上で、実施可能性の検証として、妥当性・信頼性・プロセスの評価を行っています。

研究成果

日本版住環境アクセシビリティ評価指標の作成と内容妥当性の検証

高齢者の住環境アクセシビリティ評価指標の開発過程として、翻訳、日本の住宅基準への適応、作業療法士・介護支援専門員・建築士による専門家パネル調査を実施し、内容妥当性の検証を行いました。

東・東南アジアで作られた住環境評価ツール:スコーピング・レビュー

住環境評価ツールのアジアでの開発状況を把握することを目的に、スコーピング・レビューを行いました。その結果、科学的検討を経た住環境アクセシビリティ指標はアジアにはなく、エビデンス構築に向け指標開発が必要と考えられました。

高齢化社会における住環境の課題:スウェーデンと日本の比較

スウェーデンと日本は、とても遠い国のようですが、高齢社会となっているという点では共通しています。本研究では、両国の公的統計を用い、住環境の課題に関する国際比較研究を行いました。

その他

要介護高齢者の残存能力を最大化する住環境評価指標に関する研究―なぜ日本で要介護高齢者のアクセシビリティを評価する必要があるのか―
Dia News 99 4-7 2019年10月

研究助成元

  • 科研B:要介護高齢者の残存能力を最大化させる住環境特性と主観的Well-beingの研究(文部科学省 科学研究費 基盤研究B)
  • 科研若手:高齢者の残存能力を最大化する住環境評価指標開発:ICFによる類型化と妥当性検証(文部科学省 科学研究費 若手研究)
  • ファイザー:要介護高齢者の残存能力を最大化する住環境評価尺度:日本の住環境への適応(ファイザーヘルスリサーチ振興財団)
  • 笹川:高齢者用住環境評価指標の日本版作成に向けた予備的研究~スウェーデンと日本の住環境比較~(スカンジナビア・ニッポン ササカワ財団)